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キングダムオブカオスが分からない方は見ないほうがよろしいかと。
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人知れず「救済幸福物欲派」などとして派閥でも何でも起こせば多くの人の頂点に立てるので、こっそりやって是非ともトップに立とう。
暇な時に「お前ら俺に救われろ」とか念じていれば何か神秘に通じている気もするのでなお良し。所謂ジングウォン派現象。
対立派閥が強大化してくれば「くっ……中々やるようだが……」と呟くこともできる。

と、暇な時間に出来る遊びを考えついた気でいるのが幸せ。
ちなみに対立派閥は「生における労働の尊厳求道派」とかそんな感じで。

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昨日というか一昨日か、茶で世話になっている人の結婚式だった。
まぁお祭りごとだということで、覗きに行ってきましたよ。
いいじゃない、幸せそうで。


日記なんだからこういうの書けばいいのにね。
ナルシーここに極まれり究極殺法。


「あんたは、何かを感じてるって思ったことあるか?」
 出し抜けに放たれた質問は、マスターの脳天を貫くことなく虚空へと逸れる。帰ってくるのは、酒瓶の並ぶ戸棚を整理しながらの、刺すような訝しげな目線のみだ。
「そういう顔すんなよ……俺ぁな、最近思うんだ」
 酒の露滴にうっすらと濡れるグラスを見つめ、ため息のように言葉を吐く激。
「俺が感じること……怒りや悲しみといった感情や気持ち悪い、美味いといった感触っつーの?そういうのって本当に俺が感じてることなのか、実は感じてるフリをしてるだけじゃぁねぇかなってな」
「何だ、また持病の変頭病か。脳内をけがわらしい赤褌菌に蝕まれて発病する病。命名は俺な」
「はっはっは!そのナンセンスな感じも大分病んでると思うぞ脳みそメロンパンしてこい」
 くだらない言葉の応酬はいつも通りだったが、激の言葉にいつもの張りは無い。
 ただ単に、思いついた言葉をニュアンスで伝えるのは、いつも通りなのだが……。
 中身の無い、枯れ果てたグラスを見つめる激。
 そのグラスに、新たな液体が注ぎ込まれ……彼の見る前で息を吹き返していく。
「呑めよ。何だかしらねぇが、んなくだらねぇことは、呑んで寝れば解決しちまうさ」
 マスターはそう言って、酒瓶の首を掴み、ぎこちなくウインクをしてみせる。銀縁の片眼鏡の奥の碧瞳は、知性的な相貌に似合わない、悪戯めいた輝きを灯している。
「……あんたも大概、外見と中身が一致しねぇよな」
「そりゃ、褒めてねぇな?俺の気遣いを返しやがれ」
「いやだねっと……」
 そうして、グラスになみなみに注がれた透明の液体を、吸い上げるようにして一気に喉へ流し込む。
 その瞬間、マスターがにやりと悪い笑みを浮かべたのを、激は見落としていた。
 致命傷、に等しい。
「ぶふぉぁっがほっあふっ………!」
「っふ……はーっはっはっはは!引っかかったな阿呆が!っはっはっは!」
 カウンターに頭を打ち据えるような姿勢で、激しく何度も咳き込む激。
 その光景に腹を抱え、遠慮呵責無く笑い声をあげるマスター。
 大きく口を開けて笑うマスターを、恨みがましく見上げる激は、
「て、てめぇ……げほっ」
 息も絶え絶えに、咳き込み続けている。
 その視線を真正面に受け、マスターは目尻に浮かべた涙を拭いながら愉快気にしている。
「どうだ?苦しいか?苦しいだろう?それはフリじゃねぇだろう?それとも、お前はそんな上等な演技ができるほど役者だったか?そりゃ無いよな」
「……ごほっ」
「何かわかんねぇけどよ、感じるっつーのは、そのままだろ?別に理屈こねて分かるもんでもねぇし、感じた!って思ったときは、たとえ手ごたえがあろうが無かろうが感じてるんじゃねぇの」
「っ……はぁ……何かよくわかんねぇよ、あんたの言葉……だがよ。確かに、何かを感じたぜ」
 マスターの決してまとまっているとはいえない台詞に、しかし激はしたり顔で応える。
 薄暗い照明に照らされる激の顔は、水を得た魚の如く、酒の注がれたグラスの如く、である。
「にしても、きっつい酒だなこれ」
「……だろうよ。酒精度数なんとなんと80%弱!」
「マスター、あんた己を殺す気だな」
「はっはっは死んでみろこんにゃく野郎」
 あとはもう、本当にいつも通りにくだらない台詞の掛け合いが続いていく。
 店に居る他の客からの、好奇と、胡散臭そうな視線を浴びながら。
      ―了―
 


激……衛斗の父親の言葉

「完璧な人間の弱さは、人にとって希望足りえる……そしてこの矛盾こそが、人でもある」

―――衛武

 激というのは、単純で頭の働きが鈍く、物事を直感で捉えることしかしない。
 時折、彼に思考の切れ端のようなものを見て取れることもあろうが、それは直感を延々と疑い続けただけの産物であって、決して思考と呼ぶにふさわしい働きではない。
「……なぁ、親仁。アレは、あんたの趣味かい?」
 どこぞのバーのカウンター。
 そのテーブルを背もたれに、カウンター越しに立つこの店のマスターに向かって、仰け反るような姿勢で問う。
 もっとも、視線だけは彼……激自身の正面に向けたままという、器用なことをやってのけながらだ。
「あぁ、違ぇよ……なんでも流しの歌い手らしくてな。一晩だけ歌う場所を貸して欲しいつってきてよ」
「へぇ……こんな小汚ぇ酒場に、ねぇ」
 薄暗い照明に照らされ、銀色に光る片眼鏡越しに非難の視線を送られるも、激は気にした風も無く笑った。
 既にこういうやり取りを何度と無く繰り返しているのか、マスターもその笑みに肩をすくめるのみだ。
「……まぁ、確かに、考えられんがな」
 ぽつり、そう漏らしたマスターと激の視線の先には、その歌い手が立っていた。
 彼女、の口から流れ出るのは、渇ききった空気に優しい暖かさをもたらし、人のとげとげしい部分を優しく包み込む歌声。
 柔らかな声音が耳に穏やかに滑り込んでくる感覚は、快楽に近い。
 そしてなにより、その場にあるだけで人を和ませるに足る、不思議な空気を纏った美人だ。
 彼女の暗褐色の髪が揺れる様は、たとえ歌が無くとも絵になるというもの。
「ふーむ……」 
 己と歌い手の間に置くようにグラスを掲げ、茶の湖に浮かぶ氷塊越しに彼女を眺める激は、その歪んだ像に微笑みかけながら呟く。
「にしても、よ」
「あ?」
 マスターの応えは上の空だ。目の前の男に不審げな一瞥をくれてから、この小さな舞台の歌姫に蕩けかけた視線を送り続けている。
「人間っつーのは、良いよな」
 掲げたグラスを今度は周囲へと移していき、そこに移る客の像を歪めながら、笑った。
 多いとはいえないまでも、決して少なくない客達は、その激の様子に気づくはずもなく、談笑に興じたり、あるいはマスターと同じように歌い手へ視線を注いでいる。
「本当、良いもんさ」
「……何が言いたいんだ?」
「さぁて、ね?」
 仰け反るようにマスターへ笑みをくれてから、グラスの液体を一気に呷り……咽る。
「無理するなよ。あんた酒弱ぇんだから」
「っごほっ……矛盾を抱え、罪を犯し、悔やみ、憤り……そして憎みながら、それでも楽しく暮らそうっつー人間ってぇいきもんは、すげぇよ」
 湖は干上がり、氷塊だけが転がるグラス。それが奏でる音を歌の中に混ぜて楽しみながら、歌い手を眺める。
「……どうした?咽た時に酒が脳みそまでいったか?そりゃ大変だ、直ちに酒抜きしねぇと耳から脳みそ流れ出て死んじまうぞ?あーあかわいそうにご愁傷様」
「はっは!親仁も上手いこと言うねぇ褒美として今日の酒代ツケてあげよう」
「ふざけるな真っ先に死ね」
 これもまたいつもの応酬だ。
 激と、マスターがやる、コミュニケーションの一種である。
「冗談だよ、冗談……にしても、良ーい歌だな……」
「ったく……・」
 尊大な姿勢を崩さず、グラスをマスターに向かって揺らしておかわりを催促しながら。
「酒代はきちんと払えよ」
 その言葉に笑みで返してから、今度はグラスを舐めるようにして酒を口に入れる。
「ん……本当、良い歌さ」
 誰にも聞こえないほどの小声で、ため息混じりにそう呟いた。
 そして彼女の歌声は滔々と流れ、人の合間に滑り込んで彼らを優しく包み続ける。
 彼女の暖かい歌が、人々の心を蕩けさせる。
 激には分からない、未来を喜び今を悦ぶ歌が。



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